ヒノエに焼かれるのなら、きっと私は幸せなの。
だからヒノエの炎で私を熱く焦がして、痕を残して。









熱に浮かされたような表情で、そう俺に囁く声が愛しくて
お前のお望みであらばと、熱くて甘い、口付けの雨を降らせた。

髪に額に頬に首筋に腕に掌に、そして白いお前の肌に。
恥ずかしそうに微笑むが、また、愛しくて仕方なかった。

どうして俺が望む反応ばかりするのか?と聞いてみたことがある。
そしたら少し考えてから、顔を赤らめて、はこう答えた。



「ヒノエがそういう風に、したんだもん。だから、そうなっちゃったの…」



確かに、真っ白なお前を好みの色に染め上げたのは俺だ。
だけど、それを選んで望んだのはだよね?と意地悪く微笑む。

いじめたくなる。泣かせたくなる。困らせてしまいたくなる。
そんな表情を見るのが好きで、もっとそんな表情をすればいい。
最終的に俺を求めてくれば言うことはない。少し歪んでるかもね。



「…いじわる…」

「お前が可愛いからだよ、つい苛めたくなる」

「苛められても、嬉しくない」

「嘘だね、嬉しいくせに」

「うー…ばか」



少し頬を膨らませて、そっぽを向く。
笑いをかみ殺しながら、馬鹿とは聞き捨てならないね、と囁く。
頭の切れる熊野別当を捕まえて馬鹿はないだろう?馬鹿、とはね。
そんなことを言うような、困った姫君にはお仕置きが必要かな…?

低い声でそう言ってやると、慌てて俺のほうを向いた。
ああ、やっぱり困った表情をしている。それがいけない。
わかってる?だから、俺はお前を苛めてしまいたくなるんだよ。

どんな言葉にも自分の感じた素直な言葉を口にして
人の心や身体にも敏感で、清らかで優しい、俺だけの姫君。



「ひ、ひのえ…?」

、お仕置きだよ?」

「や、やぁっ」

「だぁめ。ふふっ本当は嫌じゃないくせに」



羽織っていただけの着物を肌蹴させる。
月の光だけだというのに、夜の闇にの白い肌が浮かぶ。
噛み付くように口付けて、その肌に真っ赤な華を刻み付ける。

一体幾つ、此処には咲いているんだろうね?

数えようとはしないけれど、俺の所有物だという証なのだから
多ければ多いほど、良いものに決まっている。ねぇ、そうだろう。
がそうやって嬉しそうな表情をするから、止めないんだしね。



「ん…っ、痛ぁ…っ」

「お仕置きだからね。手加減はなしだ」

「………わたし、悪くないよ」

「もう、いいだろう?そんなこと」

「そんなことって…」

「もう、姫君の月明かりの中でも目映く玉のような白い肌には
 この俺の咲かせた世界中の何よりも綺麗な花が在るんだから…さ」

「…う………」

「…だから、。いいだろ?」



耳元で甘く囁く。
言葉の波で畳み掛けられて、こう囁かれたら。
が断ることが出来ないってことは、承知の上だ。



?」

「ん………、やぁ…っ」



痕が残らない程度に、くすぐったいと感じるように。
じれったく口付けを落としてゆく。物足りないと感じるように。



「仕方ないね。姫君が俺の望む言葉を零すまで、虐めてあげるよ」

「や、ひの、」

「じゃあ、言って御覧?俺の姫君?」



わざと言いたくならないように、にこやかな笑顔を作ってみせる。
どうせ、何を言えば良いのかなんてわかっているに決まってる。

でも、どうせなら我慢できなくなって全てを自分を曝け出して
俺の名前を呼んで、俺のことを泣きながら必死に求めれば、それが一番良い。
俺のことだけを、必要として必死に求めれば、それでいい。

ねぇ、俺をこんなに嫉妬深くしたのはお前だよ?
案外こういうところは、藤原の血筋なのかもしれないね。



「ふぅん、言わないなら言わせるまでだね」

「や…」

「それとも…何か言いたい言葉がある?」

「ヒノエ…なんでそうやって、いじめるのぉ…?」



当たり前のことを聞かれて、思わず目を瞬かせた。
そんなの、お前のことが好きだからに決まっているのに。
姫君が鈍いのか、それとも俺の愛情表現が歪んでいるのか。

涙目になっている瞳に口付けると、拗ねた表情のままで
俺のことをじっと睨む。やっぱり…子供だからね。は。
たまには強引じゃなくて、優しくしてあげないと、怒るからね。

予想の範疇内といえば、そうなんだけど…ま、優しくするっていうのは
あまり得意じゃないんだけどね…なんといっても、俺は海賊なんだから。



「…悪かったよ、

「今日は優しくするから…そんな表情するなって」

「………ホントに?」

「本当だよ」



そう言うと素直に微笑むから、虐めたくなる。
でも嫌われたくないからね、今日は我慢することにするよ。

優しく甘いキスをしてやると、嬉しそうに頬を赤く染めた。
それから少しだけ考えてみせると、小さく小さく俺に囁いた。



「ね、ヒノエ。私に…火傷させて…?」

「怖くないのか?」

「ちょっとだけ怖いけど、ヒノエだから嫌じゃないし、それに」

「それに?」

「本当に私が嫌なこと、しないってわかってるから、平気だよ」



可愛くて可愛くて、またの白い肌に花が咲く。
花が咲くたびに、あがる何よりも甘い甘いの声。

結局優しくなんて出来なくて、加減なんか出来なくて。
散々泣かせて、虐めて、焦らして、から俺を求めるさせた。
月明かりに光る、望む姿になったは何よりも美しかった。

その気持ちが、また俺の心に火を灯す。

ねぇ、火傷なんかじゃすまさないぜ?
身も心も俺に焦がれるまで辞めてやらないよ。
だから、これからもずっと、お前は俺だけのもので在れ。









070406/火傷しそうでちょっとだけ怖いけど