今日も何処かにいる誰かの為に、私は星に祈った。
この祈りが届きますように、誰かの願いが叶いますように。



「毎日毎日…飽きないな、

「こうするのが日課だから…」

「お前の祈り一つでは何も変わらないのを知っていて尚…か?」

「ええ…だって、世界は貴方が変えてくれるのでしょう?」



星を見上げるのを止め、そう言って振り向いて名前を呼んだ。
それを見透かしていたかのように、ルルーシュは笑みを浮かべていた。
チェスでチェック・メイトと言葉を発するときの、勝ち誇った笑み。

私はそれに満足して、微笑みを返す。
嗚呼、ルルーシュの瞳の輝きはあの日から少しも変わっていない。
真っ直ぐな、でもどこか悲しげな。瞬く星のようなアメジストの輝き。

ふと、その光が揺らいだ気がした。



「ねぇ、ルルーシュ」

「なんだ?」

「貴方は…本当は私に止めて欲しかった?」

「今更そんなことを言ったとしても、俺はもう後戻りはできない」

「…そうね…」



全ては光と脚を失った優しいナナリーと、お母様の為に。
その為ならばどれだけ自分の手を汚しても、傷ついても
自分の誓いを守ろうとする…そんなルルーシュが好きよ。

そっと手を伸ばす。
嫌がらずに、でも何かを隠すようにルルーシュは瞳を伏せた。
でも私はそれに気づかないフリをして、そのまま頬に触れた。



「…何も聞かないんだな」

「だって、聞いても答えてくれないでしょう?」



だから、聞かないのよ。
そう言って悲しそうな表情を作ってみせる。
それから、聞いても止められないと知っているから。

ならば、何も聞かない方がお互いにとって幸せでしょう。
酷いことを言っているとわかっていたけれど、これが本心だった。
そして非力な私には、これくらいしか出来ることは残されていなかった。



「いや…それでいい。俺は、後悔などしていない」



苦しげに絞り出した言葉は、切なくて。
だからこそ胸を締め付けられる。ただい愛しいと、そう想った。



「だから…」

「ルルーシュ?」

…世界中が敵に回ったとしても、傍に…」



泣いているのかもしれなかった。
心の中で、ルルーシュは…あの日からずっと。

顔を見られないように、震える肩で抱きしめられる。
何もしてあげられない自分がもどかしくて、情けないと心底思った。



「私は貴方を裏切らない。これからもずっと傍に居ると…誓うわ」



私もまた、ルルーシュを抱きしめ返す。
こんなことしか出来なくてごめんなさいと、言いたかったけれど言えなかった。
私からそんな言葉を言われることを望んでいないとちゃんとわかっているから。

貴方が世界を壊す破壊者になったとしても、私は傍にいる。
どれだけ私を騙しても、貴方が私を裏切っても、素知らぬフリをして
傍で微笑っているわ。ルルーシュが望むなら、変わりに泣いたっていい。




ルルーシュの元に星が巡りますように。
ルルーシュが世界の誰よりも幸せになれますように。

―どうか、どうか、叶えてください。

何よりも大切な、何にも代えがたい本当の私の願い。
私の願いが叶う日まで。だから祈り続けるのを止めない。



















title by Opera Alice/image by 水珠




06/12/03/