昨日から、ずっと。
のことばかり考えてる。

あの涙が、頭から離れなくて、どうして泣いたのかわからない。
もう自分の頬を叩かれたことなんかはどうでもよかった。

だけど、自分の大切な人が泣いているのは、止めたくて。
そんなことを考えて授業を受けていたら、勿論答えはわからない。
ルルーシュが小さい声で教えてくれなかったら、立たされるところだった。



「どうしたんだ?今日…変じゃないか?」

「うーん…少し考え事をしてて」

「俺には言えないことか?」

「そういうわけじゃないんだけど…ここじゃ、言いづらい」

「そうか。なら夕食でもどうだ?前から言っていたし」

「うん。ありがとう、ルルーシュ」



そうして夕食の後ゆっくり話でもしようということになって
今日は生徒会の仕事もそこそこに直ぐにルルーシュ達の部屋に行ったのだけど。
待っても、待っても、ナナリーが帰ってこない。連絡もない。

ルルーシュの顔色が悪くなっているのがわかる。
少し前にあんなことがあったのだから、当たり前だ。



「ルルーシュ、君はここに居て。僕がナナリーを探してくる」

「すまない、スザク…頼む」

「任せて!」



探しても探しても見つからなかった。
どうしよう、他にも協力を仰いだ方がいいのかなんて考えていた。
だけど、ルルーシュに電話をかけるとあっけなく大丈夫だって言われた。

ほっとしたけど、先に僕に連絡してくれるべきじゃないのか?
まぁ、いいんだけどね。ナナリーが無事なら、そんなのは別に。



「ルルーシュは今何処に?クラブハウス?」

「いや、今校門に向かっている」

「―あ、ほんとだ。おーいルルーシュー!」



姿を見つけて名前を呼んで、駆け寄ろうと、した。

だけど、ルルーシュの隣にいるのは?
見間違いかと思った。彼女のことばかり考えていたから。
だって、どうして、がここにいるんだろう?

でも見間違えるはずがない。他でもない、彼女だった。









僕から逃げるように走り抜けていった。
まるで僕に怯えているかのように見えて、悲しさが胸に広がる。

まただ、また追いかけられなかった。
やっと我に返って名前を呼んだけれど聞こえてはいないだろう。
振り返ってくれることも、足を止めてくれることも、なかった。



「知り合い…なのか?」

「うん…仕事場の同僚…みたいなもの、かな」

「じゃあ、彼女も軍人なのか?」

「いや、正式な軍人じゃない。上司の親戚だって言ってたし」



でも、どうして。
君がルルーシュと一緒にいるんだろう?



「どうして、ルルーシュと?」

「ああ、ナナリーの友達なんだ。送っていく途中だった」

「そうなんだ…」



そう言われて、溜息を零したけれど納得出来たのか微妙だった。
僕がここに通っていることは知っているはずなのに、僕は知らなかった。

知っていたら…君に逢いに行っていたのに。
話をしたかった。理由を聞きたかった。謝りたかった。
僕が悪いことをしたと君が思っているなら、謝りたかったのに。

なのに、君はまた逃げた。
悲しくて、淋しくて、胸が痛い。
話してくれなければ、僕にはわからない。
なのに近づこうとすれば、君は逃げてしまうんだね。



「お前…彼女に何かしたんだろう」

「え?し、してないよ!されたのは僕の方と言うか…」

「そうだとしても。十中八九悪いのはお前だな、スザク」

「ええ、そんなぁ…」

「まぁいい。とにかく帰るぞ。ナナリーが待ってる」



何も知らないルルーシュに決め付けられて、少しむっとしたけれど
きっと正しいのだろう。いつだってルルーシュは的確に答えを導く。

相談したかったのは彼女とのことか、と小さい声で聞かれて黙って頷く。
笑いを堪えているのが見え、僕はまたむっとした。笑い事じゃないのに。



「ねぇ、ルルーシュ。女の子に泣かれて平手打ちされるのってどんなとき?」

「………お前…、彼女と一体どういう関係なんだ」

「え、だから仕事の同僚だって」

「何か余計なことを言ったか…したか、だな」



そんなの直ぐに考えたさ。でも覚えが無い。
だから、君にこうして聞いてるんじゃないか。



「あとは傷つけるようなことをしたか。裏切るようなことを」

「そんなこと…していないよ…」

「とにかくゆっくり考えてみろ。仕事する上で揉めても一つも良い事はない」

「うん………」

「そんなに情けない声を出すな。ナナリーが心配する」

「わかってるよ、ルルーシュ!」









昨日も、今日も、きっと君を追いかけられた。
でも追いかけられなかった。追いかけてはいけない気がした。

この胸の痛みも悲しみも、何を暗示しているのか本当わかっていた。
もう一度触れられたら、何かが伝わってしまいそうで怖かった。
俺にはそんな資格なんかないのだから。

だから、出来ない。でも本当は君を追いかけたい。
俺はどうしたらいい、考えてもやっぱりわからないんだ。
そして今日もやっぱり、君のことばかり、考えている。









image by NOION




07/03/03/